フリーアニメーター 田舎暮らし 

田舎で暮らすフリーアニメーターの日々を気ままに綴っています。

起業したい女性が集まる会なるものに行ってきたよ

田舎でひっそりアニメーターやってる人の日々を綴るだけのブログ

 

■起業したい女性達の交流会がありました

 2017年2月4日(土)

市の開催する女性のための企業セミナー参加者意見交流会を覗いてきました。
といっても参加者としてではなく、会場の様子などを傍観させて頂きました。

本記事では、交流を通して得た発見を、自分なりにおさらいしていこうと思います。

アニメーターという特殊な生業から見た極論も含まれますのでご了承ください。


■起業したいとはいっても…
起業というと大がかりに思えますが、要は好きなことで収入を安定させることを目指す方々の集まりのよう。

将来的な独立を考える人もいれば、既に経営者で事業を拡大したいなんて方も。
副業のまま続けるかどうかで迷う人など様々でした。

過去に行われたセミナーの中では、夢の実現のためにどのようなアクションを起こしていくかを具体的に考え、発表し合ったようです。
今回は、その発表からしばらく(2ヶ月位?)してどのように実行に移していっているかを確かめ、それに伴い新たに浮上してきた疑問点を解消するために開かれたようです。

前回のおさらい→相談の流れのおかげで、皆さんがどのような野望を抱いているのかを知ることができ、初めて居合わせた私でも有意義に聴衆できました。

参加者は、すでに事業者である先輩達のアドバイスや、同じ起業を志す仲間の意見を通して、自分なりの起業スタイルや課題を明確にしてゆきます。

昨年開かれたセミナーで見聞きしたことや、自分なりに消化したことを再度見つめ直す機会にもなったのではないでしょうか。

 

■目標とハードル
好きなこと、やりたいことを収入源にする。
そのためのハードルは、自分が置かれている状況や生活環境によって様々だと思います。

アニメーターである私にとって一番のハードルとなったのは、安定した仕事があるかという部分です。
これは、独立して2年ほど経った現段階でも解決はしていません。

・最低限はあるが、約束されているものではない。
・タイミングによって仕事があるかどうか分からない。
出来高収入なので、仕事が入らないことには毎月入るようなお金はない。
というところです。製造業なら皆さんまぁまぁこんな感じでしょうか。

嬉しいことに、取引先での私の仕事ぶりは概ね好評価です。
多忙な業界ゆえ、仕事がないという事態には陥りにくいのですが、私の場合、作画詰めにしてしまっては独立した意味がなくなってしまいます。
作画業務に頼らず、様々な活動によって生活する、アニメだけの生涯にしない。
これを守るために、受注する仕事量を調整しています。

作画とその他を半々でやっていく。(現在7:3もいいとこ)
これを目標に、作画以外の部分を今以上に拡大していきたいと思っています。


□自分の生活を見直す(交流会とは関わりが浅い項目です。読み飛ばして下さい。)
恐ろしいほどに倹約家な生活が幸いして、少ない収入でもなんとか死なずに暮らしていけています。
今日お会いした方々の半数近くが、「確かな収入源にしていくには」という自己の課題を発表されました。

そんな方々からすれば、恐らく私の収入は決して確かな数字とは言えないものですが、それでも様々な条件を揃えることで生活できています。


1)ルームシェアすること
家賃が浮きます。
光熱費も浮きます。
ストレスなく暮らせる相手が大事。

2)家賃が安いこと
そもそもの家賃を安くあげること。
居抜き物件万歳。出会いが命。

3)自炊すること
貧乏生活とか特集見てるとなんでみんな菓子パンとかカップ麺食べてるの?
むしろそんなものは高級品という考えで。
ちゃんと米を炊いて、野菜切って、肉も食う。それでも菓子パンより安いんだから。

…ここで困るのが付き合いの食事。
大抵が外で食べることになるのでひと月の食費を考えるとかなり痛い。
断てるものでもないので、出会いは投資と思って貯蓄から出す。(涙)


この程度の節約は、今までそこまでカリカリせずにやってきたことなので、切り詰めてるとかいう意識はほとんどありません。
「節約」という意識も低く、日常です。

ただし金銭感覚の異なる人付き合いには注意、といいたいところですが、大体の人がそれに該当するので、折り合いが難しいのも事実です。
自分よりケチな人間なんてなかなか出会ったことないかもw


当たり前すぎて忘れてたけど、

4)子どもは作らないこと
必要なお金がだいぶ変わってくる。
私の場合、現段階で欲しいと思っていないので制約ですらない。

5)物価の安い田舎に住むこと
主に食費が変わってくると思う。
家賃を安く、と考えるとほぼ必須、というか共通項目?
インドア派、ネットが使えるならきっとどこでもやっていける。


上記の生活で一人あたり5万円以内で暮らせています。
10万円稼げたら、なんと半額も貯金できてしまいます。
会社勤務者から見れば、苦笑する額かもしれませんね。

ギリギリ生活しながら微々たる貯金はできていますが、大きな挑戦に対する投資にはまだまだ不十分です。
作画以外で分母の底上げをするのが当面の目標です。


目標実現のために (交流会とは関わりが浅い項目です。読み飛ばして下さい。)
アニメーター業の一本で生涯を終えたくないので、色々な事に手を出しています。
そもそも独立した動機でもあるのですが、作画業務で手一杯にせず絵にまつわる事を主軸に収入源を模索しています。

不思議なことに、一日あたりの労働時間(作画時間)が独立前から激減していることに対して、収入はあまり変動がありません。
・会社に居た頃ー[定時]10時~19時の最低9時間労働。手持ちの仕事の有無により残業。…私は極力回避していました。
・現在ー10時半~16時の5時間半。締め切りの状況次第でこれより早く切り上げることもありますが、遅くなることはありません。

賃金の差が無い主な要因としては、
・スタジオに居た頃に実力に見合ったポストに就けなかった。(会社の基準値が高い)
・教育者が修行論的。(苦しい仕事は買ってでもしろ←単価は変わりません)
…というところかと思っています。
あのまま会社に居たらどうなってたの…と時々思う事もあります。

そんなこんなで生まれた時間を活用して、今は副業(と呼ぶにはまだまだですが)に充てています。
それは、イラスト制作であったり、簡単なチラシデザインであったり、ロゴデザインであったり。
きちんと学んできたものは無く、それらしいソフトを使うわけどもなく。
どれも素人に毛が生えたようなレベルかもしれませんが、それでも少しずつ依頼を貰えるよになってきました。

…言ってしまえば作画の仕事も、会社で学んだ事以上の依頼がある今、素人レベルかもしれません。
それでも取引先に縁を切られず、再度ご依頼を頂けるのは、拙いながらに多少なりとも期待を頂いているからなのでしょうか。

基本的な絵の描き方や発想する脳を鍛えるトレーニングなど、学生時代に培われたものを糧にして何とかなってる気がします。


■状況把握
●副業()の中でも、比較的見込みのあるものは以下の通り。

・デッサン教室講師(カルチャースクール)
利点:一度にまとまった収入
課題:周知不足、生徒が一人でも欠けたら継続不可
希望:受講者にデッサンの楽しみを分かってもらえてきた

・ハンドメイド品委託販売
利点:販売はショップに任せておける、不特定多数に購入してもらえる
課題:周知不足、納品数が少ない 
希望:納品した月は必ず一定数売り上げがある


●内々で伝わって、知り合いのみからたまーに注文をうけるのは以下。

・チラシデザイン
ロゴマーク制作
あまり大々的にやりたくないと思っている。現状維持。
相場を探りあぐねている。
できれば将来的にイラストの注文が欲しいと思っている。

 

■苦手分野の補完
副収入源を軌道に乗せるために必要なことの大半は、知恵を絞らずとも日頃から見えていることばかり。
共通して周知不足です。このブログの更新頻度を見て分かるように、私は自ら発信することが苦手なのです。

活動を報告する、作ったものを発表する。
後にも先にも、どこで何をしているか知って貰わない事には得るものはない。
知られていないことは、世間では無いのと等しい。

分かってるならやればいいじゃない、と言われてしまえばそれまでですが、作り手の中には「PRは誰かがやってくれて、作ってるだけで生活したい」という考えの人は一定数いるようです。


今回の交流会参加者を見ていると、

・クリエイター(製造者)
・プロモーター(発信者)
・コネクター(連結者)
の3種類の人材に大別できました。

その中で、あるクリエイターの発言から「PRすればいいのは分かっている、でもできない」という話題になりました。
別のクリエイターはうんうんと頷いている横で、プロモーターは「なんで?やればいいじゃない」といったリアクション。

恐らく、発信する側のプロモーターの立場がクリエイティブな面で悩みを持ったとき、作り手からは「やればいいじゃない」になるんじゃないでしょうか?

例えば、麻織物の産業を若い世代にPRしたい。
産業としては既に廃れ気味で、若者に喜ばれる新商品の開発が案として出たとします。
人手もなく、予算が限られている場合、プロモーターはどのように商品を開発するでしょうか。


■覚悟のかたち
一人の事業者になる。
それには、各々が苦手とする分野を得意とする人材に巡り会う事も大切なのかもしれません。
クリエイティブとプロモーションの両方を得意とする人も存在しますが、苦手な場合は無理に頑張らなくてもいいのではと。

数多くの人材との交流があり、必要としている人同士を結びつけるセクションも、既に注目を集めつつあります。(交流会参加者のコネクターは婚活に限ったものに聞こえましたが)

「人と人を繋ぐ」というと漠然として聞こえますが、今回のケースだとクリエイターとプロモーターを繋ぐコネクター(によるコミュニティ)と置き換えればスッキリ見えてきます。
クリエイターのPRベタのように、一定数の共通した悩みや課題が見えれば、それらを解消するビジネスの誕生は目前ではないでしょうか。

こだわりの製作物を上手くPRしてくれる人を探すクリエイター。
共通の価値観を広めたいプロモーター。
人と人との繋がりを築くことに意義を感じるコネクター
少人数での集まりの中で、偶然にもこの三者が揃ったことに、何か深い意味を感じました。

本気でこの道と志すのであれば、人の手を借りることも覚悟のひとつかと思います。
勿論、自力でなにもかもやり遂げるのも覚悟。
前者は予算が必要だろうし、後者は孤独と戦う精神力が必要でしょう。

どちらも無理~となってしまう場合は、まだまだ生業とする覚悟が足りない証拠かもしれません。